アルマック、治験薬供給にジャストインタイム方式採用、最短5日

2019/09/30 化学工業日報

 

医薬品受託製造開発企業(CDMO)の英アルマック・グループは、製薬会社から治験薬の包装や治験機関への輸送を受託する業務で「ジャストインタイム方式」を採用する。治験薬供給の受注から配送まで従来は6~12週間を要したが、最短5日に短縮できる。製薬会社はより短期間に治験を進められるほか、高額なバイオ医薬品の生産過剰を防げる。

日本などの製薬会社に紹介を始めた治験薬供給のジャストインタイム方式は、製薬会社から原薬の供給を受け、盲検化など1次包装まで仕上げた治験薬を事前に用意しておく。医療機関から治験薬の受注が入ると、各国の仕様に合わせて外箱に詰めたり、ラベリングをし世界中に輸送する。

治験の需要のたびに原薬を量産した後、治験薬として盲検化などのキット化を行い、国別のラベルを貼って輸送する従来方式のリードタイムは6~12週間を要していた。ジャストインタイム方式は医薬品の使用期限に依存したり、10~20日分の小ロットの対応にとどまるものの、最短5日に短縮できる。

アルマックでは英国と米国の拠点に専用施設をこのほど設置し、シンガポールを含めた3拠点を活用したジャストインタイム方式の提案を始めた。特別な研修を受けたサプライチェーンを管理する専門員が治験薬の供給戦略を練り、治験薬や対照薬をあらかじめ在庫しておき、治験薬の受注後すみやかに輸送する。

製薬会社が積極的に開発するバイオ医薬品は、がんや希少疾患をターゲットにし、各国ごとの被験者数は小規模だが、治験実施は日米欧中など世界に広がる。

少量多品種のバイオ医薬品の治験薬の迅速輸送によって、治験開始までの期間短縮や治験費用の圧縮を見込める。高額なバイオ薬の廃棄を減らせるといった利点もある。